訪問介護に行っていて、
参考になった、終末期の住環境について記録する。
Aさん宅、一人暮らしの90代男性。
江戸っこ気質の頭のまわる、チャキチャキのおじいちゃんです。
自分のことは自分で出来る。
判断力も中小企業の社長並みにしっかりしています。
愛人はいたりしたようですが、
独身。
都会の住宅地に一軒家を持ち、
訪問介護やケアマネを使いこなし、
しっかりと生活していました。
年を取り、病気になり、一人暮らしに困難を感じ始め、老人ホームへ自ら入居。
その際、自宅を売りやすいように、家具などをすべて、処分。
建物だけの状態にして、
2年間老人ホームで暮らしていました。
ホームでの手厚いサービスのせいか、
健康を取り戻し、
ホームでのルールに束縛される生活が嫌になった。
そこで、
死ぬ前の、最後のわがまま・・と
自宅へ帰ってきた。
自宅で生活するために、必要だったのは、
一階の畳あがりの6畳と、続きのリビング4畳半、
それに連なるキッチン6畳
トイレくらいで、
残りの部屋は未使用。
必要な家具は、テレビ、暖房、ダイニングテーブル、ガスコンロ、冷蔵庫、洗濯機、
レンジ、掃除機くらい。
彼の住居もまた、
介護保険でレンタルした介護ベット、ポータブルトイレ、車いすが加わるくらいで、
必要な家具、もの、スペースは非常にシンプル。
ワンルーム12畳くらい、トイレ、洗濯機スペース、キッチン、風呂がついている
大学生が暮らすような部屋。
デイサービス通いで、風呂に入るので、
外に出やすい1階。
ゴミ出しや、自転車スペースも1階にあるので、便利。
オートロックや、同じマンションの住民の質は、ヘンなトラブルに巻き込まれないように重要。
トースターやポット、炊飯器はあると便利。
こうやってみると、
家族のいない高齢者の生活も、
一人暮らしの大学生と変わらない。
使えるお金の額も変わらないし、
食べているものも、コンビニ食や弁当頼り。
栄養を考えて、栄養食品や薬は増えていくけど、
日々の食事は、手間がかからないことが重要。
人を呼ぶこともないし、
見栄を張る必要もない。
生活の質は最低限。
しかし、その最低限をどんな状況でもキープできるように、
その策は、頭を使って、人を使って、守れるようにしたいと思う。
そう考えると、
無駄金を使えるのは、健康な今だけ。
家族が周囲にいる今だけが、特別な食事をとったり、
お金がかかったりするのだと分かる。
年を取って、仕事がなくなって、と、
将来を憂えて、
心配ばかりが増大するから、
貯金!節約!と思いがちだけど、
健康!寿命!若さ!そんな時間のほうが希少。
したいことをすればいいと思う。
したくないことを我慢しなくていいと思う。
自分の時間なんだから。
健康で、家族がいて、
そんな時間はとっても希少なものだから。