夫が60歳になった。
社宅から追い出される。
老後の住処をどうするか?
それぞれの親が介護が必要になるかもしれない。
彼らの持っている家を引き継ぐものは?
高値で売れるような物件でもなく、
わざわざ好んで住みたい場所でもなく・・。
でも、
いざ住む場所がなくなり、自分たちでどこか借りなきゃとなると、
今までのような立地、今までのような広さの賃貸は
気軽に払える額を超え、どうしてもなにかを我慢しなければならない。
これまで住んでいた社宅は、
築30年を過ぎ、古いデザインで、
自分で選べるなら、周囲の人たちが住んでいるようなモダンなマンションに住みたいと
常々考えていた。
しかし、自分たちが今払っている額の倍を出しても、
そんな立地にはまともな賃貸がない。
自ずと、不便な、場所で探さなければならない。
子供たちも大きくなり、自分の部屋が必要なので、
そうすると、3LDKでは狭く、4LDKあっても、荷物がすべて収まるかどうか・・。
今までは、古い仕様あったので、
押入れは各部屋にあるし、外に、大きな倉庫もあった。
駐輪場や駐車場もあるのが当たり前で、
それでも収まりきらない荷物を、各実家に押しやっていた。
そういった、大量の家具を、普通の賃貸に押し込めるのは、至難の業。
そう考えると、社宅はありがたかったと思う。
今回、義父の死去に伴い、独居の義母宅を改装して、
私達が同居するという構想を、急に、夫が言い始めた。
建築デザインに憧れのある夫が、ここぞとばかり、自分の夢を思い描いたプランを
勝手に進めようとして、
今のままの居住空間を維持し、ここで死にたいと願っている義母に、
一人住まいの不安を切々と訴え、
義母お気に入りのメインスペース以外の家半分の増改築の許可をもらって、
建築会社に見積もり依頼までしていた。
どう考えても、3部屋くらいは増やしてもらわなければ、
私達の居住スペースはないのに、
1階建てを2階建てに
住みながらの増築
夫の夢の詰まった、デザイン性に富んだ空間
の希望を出していた。
私としては、もともと同居は嫌!
そして、
その場所も嫌だけど…の状態。
しかし、月10万くらいの賃貸を払い続けることを計算すると、
あの家に住もう!という話になるのも分かる。
そうやって、右往左往していたら、
義母がはっきりと、増改築は嫌だと表明。
建築会社からも、建て直し以外2階建てにするのは建築法で無理とのこと。
建て直しだと、4300万の見積もりがきた。
4300万?!!!!
夫も想定外だったようで、
それまで勝手に進めていた話を、「いくらまでなら出せるのか?」
「借りたほうがお得なら、ローンを組むかも」なんて言い出した。
これから、急激に給料が下がりながらも、会社にしがみついて、
年金が出るまでをしのがなければならない私達。
子供たちは、未来の8050問題がみえるような、ニート体質。
私の年金はほとんどなく、
これまでは、こどもの教育費に全振りしてきた家計で、老後資金なんてないのに、
今から、借金するつもりですか???
退職金や親の遺産といった、ちょっとまとまった額を手に出来そうな未来と、
今の会社から隅に追いやられつつある焦燥感、
義父を亡くし、大事な義母が一人になったという不安感から、
後になって、大後悔しそうな決断をしてしまいそうなご様子。
私が口出すと、
義母との同居が嫌なだけだろ!と頑なになってしまうし、
頭を冷やして、冷静に決断が出来るまで、
私がとやかく口を挟まないほうが良さそう。
義母の様子だと、
義父を亡くしたショックから鬱になりそうな怖さはあるし、
高齢だから、生き抜く力をなくせば、いつ亡くなってもおかしくないので、
滅多なことは言えないが、
今のショック状態から立ち直り、生活を外からサポートすると、
案外、元気にずっと長生きできそうな気もするのだ。
私と生活スペースをかけた争いに疲弊するよりも、
今まで通りの穏やかな生活を、広々とした大好きな空間で、
過ごしながら、
子供たちや、親族が気軽に遊びに来れる
そんな家を自分が中心になって管理したほうが良いと思う。
介護が必要になったら、
その時々にあわせて、介護しやすいように、家に手を入れていく。
今なら、
車が2台置けるように、玄関前を整備
そして、
車いすが必要になったら、スロープといった形で、
ゆっくり手を入れていけば、
お義母さんがなくなり、私達が老後をそこで過ごそうと思っても、
バリアフリーの住みやすい住居が残るだろうし、
その頃には巣立つ予定の子供たちのいなくなった建て増し空間もなく、
現状のすっきりした暮らしが保てるのではないだろうか?
まぁ、私達のこれから住む場所は、5年くらいは、子供たちもいるのだから、
どこかに借りなければならない。
自分の実家へのアクセス、
仕事や学校へのアクセス
便利さ
いろいろ考える中に、
義母宅へのアクセスのしやすさもあり、
夫のように、
それだけで選ぶわけではない。
離れることへの不安感でいっぱいのぼくちんのために、
それなら、半分居住を自分だけ移せばいいと思う。
私は、マイペースに、今のところ(今の様子)だと、週1~2のペースで通うので、
それ以外の、寂しさのケアは、
思う気が済むまで存分に、夫が住み込んでやればいいと思う。
仕事しながらだと、家にいても、朝昼は一緒でないし、夕食も別だ。
独りで食べる侘しさを嘆くなら、
まずは、日曜日一緒に食べてくればいい。
コロナもあるから、大人数ってわけにもいかないので、
子供たちの食事を考えると、
私は、やはり家で食べなければならない。
そうやって、足りなければ、増やす。
しかし、いったん始めたことは、減らすことは難しいので、
「出来ない」「困った」を見て、動く。先走らない。
そうやって、進めていこうと、私は思う。